原則すべてのリースをオンバランス!
(会計処理モデル)
現行のリース基準では、借手と貸手ともに、リースを「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類し、後者については資産・負債計上は不要で通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うとしています。この点、新リース基準では、IFRS第16号と同様の単一の会計処理モデルを採用。借手はリースの分類がなくなり、原則として、すべてのリースについて使用権資産・リース負債を計上することとされました。
貸手は、基本的に現行基準を踏襲していますが、ファイナンス・リースの収益計上方法のうち、いわゆる第2法(リース料受取時に売上高と売上原価を計上する会計処理方法)が廃止されました。
また、リースの定義・リースの識別は、借手と同様の定めを取り入れています。
なお、連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理は同一としています。
(適用の範囲)
新リース基準は、契約の名称等にかかわらず、以下に該当する場合を除くリースに適用することとされました。
・公共施設等運営権の取得
・貸手による知的財産のライセンスの供与(ただし、製造または販売以外を事業とする貸手は、貸手
による知的財産のライセンスの供与について新リース基準等を適用することができる)
・鉱物、石油、天然ガスおよび類似の非再生型資源を探査するまたは使用する権利の取得
ただし、無形固定資産のリースについては、同基準を適用しないことが可能です。
(新リース会計基準の適用時期)
最終基準書公表から2年間の準備期間を置いて、2027年4月以降に開始する事業年度より強制適用となります。
(新リース会計基準の適用対象会社)
リース会計基準は金融商品取引法に基づく財務諸表に適用されるため、上場企業など金融商品取引法の適用を受ける企業とその子会社・関連会社が対象となります。その他、会社法上、会計監査人を設置する企業(いわゆる、会社法上の「大会社」)とその子会社も対象となります。
これらに該当しない場合、例えば中小企業には、リース会計基準は適用されないため「中小企業の会計に関する指針」に準じてリース取引を計上することになります。
新リース会計基準の適用にあたっては、企業の実務上、税務と会計の取扱いに差異が生じることがないよう、法人税、消費税、法人事業税付加価値割(外形標準課税)等において、今後、取り扱いが明確になることが予測されます。
(出典:経営財務3671号)