令和6年度改正では、賃上げ促進税制における給与等の支給額から控除する「補填額(給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額)」の範囲から“役務の提供の対価として支払を受ける金額”が除かれました。
令和6年4月1日以後開始事業年度分の法人税に適用されることが原則ですが、令和6年4月1日以後 終了 事業年度分の法人税に適用することも可能です。
賃上げ促進税制は、継続雇用者給与等支給額や雇用者給与等支給額の対前年比増加率で適用要件を判定するところ、そのベースとなるのは 所得税法28条 1項の給与等の支給額です。
ここでいう給与等の支給額に、一定の補助金や助成金などといった「補填額」は含まれませんが、補助金等のうち“雇用調整助成金等”は「補填額」の範囲から除かれます。
令和6年度改正では、“役務の提供の対価として支払を受ける金額”も「補填額」の範囲から除かれました。
つまり、継続雇用者給与等支給額や雇用者給与等支給額は、雇用調整助成金等と役務の提供の対価として支払を受ける金額を含めて計算します( 措法42の12の5 ⑤三、四等)。
“役務の提供の対価として支払を受ける金額”には、看護職員処遇改善評価料の額や介護職員処遇改善加算の額などが該当します( 措通42の12の5-2 (注)2(2))。
同改正は、事務負担に配慮等するため、「令和6年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度分の法人税」にも適用できることになっています(改正法附則38、令和6年改正措通 経過的取扱い(2))。
例えば、9月決算法人であれば、令和7年9月期を待たず、令和6年9月期から適用することができます。
継続雇用者給与等支給額や雇用者給与等支給額の計算で“役務の提供の対価として支払を受ける金額”を含めている場合は、前期の継続雇用者給与等支給額や前期の雇用者給与等支給額にも同様に含めた上で、適用要件の判定を行うこととなります。
(出典:税務通信3822号)