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■年調減税事務 合計所得金額1,805万円超の従業員等は対象外
令和6年分所得税の定額減税は、納税者(令和6年分の合計所得金額1,805万円以下)とその同一生計配偶者及び扶養親族1人につき、3万円が控除されます。
給与所得者の定額減税については、主たる給与等の支払者の下で、「月次減税事務」と「年調減税事務」の2つの事務によって実施されます。
月次減税事務とは、令和6年6月以後に支払う給与等に係る源泉徴収税額から減税額(月次減税額)を控除する事務のことです。
月次減税事務実施前までに従業員等から提出された扶養控除等申告書などに記載された同一生計配偶者や扶養親族の情報に基づいて、月次減税額が確定します。

一方、年調減税事務とは、年末調整時点の現況における定額減税額(年調減税額)に基づき、年調所得税額(住宅ローン控除適用後の金額)から控除や精算を行う事務のことです。
月次減税事務実施後、扶養親族等に異動があったなどで、月次減税額と年調減税額に差額が生じる場合は、年調減税事務で精算も行われます。

年調減税事務の対象となる従業員等は、【ステップ1】で判定できます。
年末調整時点で扶養控除等申告書を提出している従業員等が対象となりますが、そもそも年末調整の対象とならない従業員等は、年調減税事務も対象になりません。具体的には、令和6年分の源泉所得税で災害減免法による徴収猶予や還付を受けている者、年末調整対象となる令和6年中の給与収入(主たる給与の収入)が2,000万円超の者は、年末調整の対象外となるため年調減税事務についても対象外となります。

また、定額減税は、令和6年分の合計所得金額が1,805万円超の高額所得者が対象から除外されています。
月次減税事務では、合計所得金額の見積額にかかわらず対象に含めていたが、年調減税事務では、高額所得者を対象から除外するため、各従業員等の合計所得金額を確認する必要があります。
各従業員等の合計所得金額については、従業員等から提出された基礎控除申告書(配偶者控除や年末調整に係る申告書などと兼用様式)の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」欄で確認できます。
同欄が1,805万円以下(区分Iの(A)~(D)に該当)の者のみを年調減税事務の対象者としてカウントします。

■同一生計配偶者 配偶者控除等申告書との兼用様式で把握可能
年調所得税額から控除される年調減税額は、年調減税対象となる従業員等の同一生計配偶者と扶養親族(いずれも居住者)の人数によって変動し、1人当たり3万円が加算されます。
ここでの同一生計配偶者と扶養親族については、月次減税事務で把握していたとしても、年調減税事務に際して年末調整時点の現況に基づき判定し直すことが必要となります。

従業員等に配偶者がいる場合、その配偶者が年調減税額の加算対象となる同一生計配偶者に該当するか否かは、実務上、配偶者控除等申告書や基礎控除申告書等と兼用様式の年末調整に係る申告書(兼用様式)で把握できるケースがほとんどです(【ステップ2】)。
従業員等から提出を受けた兼用様式の「配偶者定額減税対象」にチェックが記載されていれば、その配偶者は同一生計配偶者に該当し、年調減税額の加算対象となります
チェックが記載されていたとしても、給与担当者は、その配偶者が“居住者に該当すること”、“配偶者の合計所得金額が48万円以下(兼用様式の区分Ⅱ①又は②に該当)であること”を満たして同一生計配偶者に該当しているかどうかを必ず確認します。
配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合、つまり、配偶者特別控除の適用対象となる場合は、年調減税額の加算対象とはなりません。

ごく稀と想定されるが、兼用様式を提出しない従業員等から年末調整に係る申告書(源泉徴収に係る申告書と一体型のもの、次頁図の※3参照)の提出を受けた場合は、同申告書に記載されている同一生計配偶者を加算対象とします。

■扶養親族 扶養控除等申告書で把握可能
一方、従業員等に扶養親族(合計所得金額48万円以下)がいる場合、基本的には年末調整時に提出された扶養控除等申告書で把握でき、確認方法は月次減税事務の際と同様となります(【ステップ3】)。
扶養控除等申告書には、合計所得金額48万円以下の親族が記載され、加算対象となる扶養親族に年齢制限はないため、“居住者に該当すること”を確認すればよいです。
具体的には、16歳以上については同申告書の“B欄”に、16歳未満については同申告書の“住民税に関する事項の16歳未満の扶養親族欄”に記載された者のうち、居住者に該当する者を加算対象とすればよいです。
仮に、扶養控除等申告書に扶養親族の記載がなく、従業員等から扶養親族の氏名等が記載された年末調整に係る申告書の提出を受けた場合は、そこに記載されている扶養親族を加算対象とします。

以上の3ステップを経て把握された①本人分、②同一生計配偶者分、③扶養親族分の合計額が、年調減税額となります。

(出典:税務通信3823号)

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