防衛特別法人税の創設
2025(令和7)年度税制改正により、法人税額に対し、当分の間、税率4%の新たな付加税を課す「防衛特別法人税」(仮称)が創設される予定です。繰延税金資産と繰延税金負債の額は、決算日において国会で成立している税法に規定されている方法で計算する必要があるため、2025年3月期においても税効果会計において影響を及ぼすことになりそうです。

上記の基準法人税額は、以下の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額とされています(附帯税の額を除く)。
①所得税額の控除
②外国税額の控除
③分配時調整外国税相当額の控除
④仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除
⑤戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置の税額控除および同措置に係
る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算
⑥控除対象所得税額等相当額の控除
中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から年500万円(基礎控除額)を控除することとされています。
また、税額控除として、①外国税額の控除、②分配時調整外国税相当額の控除、③控除対象所得税額等相当額の控除、④仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除を行うこととされています。なお、質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずることとされています。
法定実効税率への影響
防衛特別法人税の創設による2025年3月決算への影響が気になるところですが、この点について、 税効果会計基準適用指針44項 によれば、繰延税金資産と繰延税金負債の額は、決算日において国会で成立している税法に規定されている方法で計算する必要があります。
そのため、改正法案が本年3月末までに国会で成立した場合、3月決算会社であれば、2027年3月期以降に解消が見込まれる一時差異に適用される税率に影響を及ぼすことになります。
具体的には、以下のような法定実効税率になることが考えられます。

また、法人住民税率および法人事業税率について、東京都の超過税率を適用した場合は以下のようになることが考えられます。

税効果会計関係の注記にも留意!
税効果会計基準第四 では、税効果会計に関する注記事項が定められており、税率の変更により繰延税金資産と繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨と修正額を注記することとされています。
財務諸表等規則8条の12 第1項3号および 連結財規15条の5 第1項3号でも同様の規定があるため、有価証券報告書において税率の変更について注記する必要があります。
【出典:経営財務3687号】