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第三者委員会とは?
第三者委員会とは、社外から選出された専門家による中立的立場の調査組織です。経営陣と独立性を持ち、公正な判断が求められるため、起きた不祥事等に対する会社の姿勢や対応という点について、信頼性や透明性向上に貢献します。
第三者委員会の設置目的は、企業経営における問題や不正行為の解決策を、客観的に提案することです。社内外への信頼回復や透明性の向上が期待され、企業価値の向上にも寄与します。また、適切なガバナンス体制の構築を促進し、組織風土の改善にもつながります。

第三者委員会の役割
事実関係の調査
原因の分析
解決案の提示
企業が迅速に信頼回復するため、自浄作用が発揮されていることを利害関係者に適切に説明するうえで、中立性や専門性、独立性のある第三者委員会がその信用性に寄与します。なお、その提言を受けて企業にアドバイスする役割は、一般に顧問弁護士に対して期待されているといえます。

第三者委員会の構成と活動内容
■メンバーの構成
第三者委員会のメンバー構成には、企業との利害関係がないうえ、適切なバランスと専門性のある人物が求められます。具体的には、経営者や法律家、会計士、コンサルタントなど専門家から選ばれることが一般的です。また、より適切な対応策を選択するために、委員会の目的や課題に合わせたメンバーが選定されることが重要です。

■活動内容と範囲
第三者委員会の活動内容は、関係者へのヒアリングや書類の調査から事実の解明、そして解決策の検討まで幅広く行われます。具体的な調査範囲は、第三者委員会と調査を頼んだ企業との間で決められます。
第三者委員会の範囲は、経営陣と従業員だけでなく、取引先や顧客に及ぶことがあるでしょう。

第三者委員会のメンバー選任・運営にかかる費用
規模や不祥事の内容の複雑さにもよりますが、調査範囲が広範に及ぶなどの場合、第三者委員会の運営にかかる費用は数億円に達するケースがあります。
また、第三者委員会には次のような費用がかかります。
委員報酬:専門家への報酬
調査費用:証拠資料の収集や分析など
運営費用: 会議室の利用料や通信費、事務用品の購入費など

第三者委員会ガイドラインとは
2010年に日本弁護士連合会は「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」というベストプラクティスを公開しました。第三者委員会が企業の不正行為などを調査する際、その独立性を確保するための推奨される手法をまとめたものです。
第三者委員会の仕事では次のようなことを考慮するため、担当の弁護士によって調査の手法が定まっていませんでした。
真の依頼者が依頼者の背後にいる利害関係者である点
標準的な監査手法であるリスク・アプローチに基づいて、不祥事の背後にあるリスクを分析する必要がある
企業側から反発を受けたり、信憑性の高い報告書を期待していた外部の利害関係者や監督官庁などから、失望や叱責を受けることがあったりしました。
このような問題を解決するために、ガイドラインが作成されました。ガイドラインには、次のような主要ポイントを含んでいます。
1. 第三者委員会の活動:事実調査・認定・評価、調査報告書の開示、再発防止策等の提言に関する指針。これにより、事実を正確に捉え、公正な評価を行い、再発防止策を提案
2. 独立性・中立性:第三者委員会が公正で透明に調査するため
3. 企業等の協力:企業は第三者委員会の活動に対する最大限の協力が求められている
4. 公的機関との関係:第三者委員会が公的機関と適切に連携するための指針
5. 構成委員についての指針
6. その他(調査手法、報酬など)

第三者委員会の報酬
第三者委員会の委員が受け取る報酬額にもバラつきがあります。
調査費用は一般的に、調査にかかった専門家の人数と稼働時間、時間単価の掛け算で算出されます。
調査範囲が広ければ広いほど稼働時間は増え、投入する専門家の単価が高ければ高いほど費用は膨れ上がります。ですが、第三者委員会の一覧を見る限り、会社規模や、調査に伴う過年度業績の修正幅が大きいほど報酬額が上がる、とは限らないようです。
データ偽装、横領や贈賄など社員や幹部による犯罪、パワハラ、そして不適切な会計処理――。
企業で不正や不祥事が発生すると、今や必ずと言っていいほど外部有識者からなる「第三者委員会」が設置されます。委員に就任するのはたいてい弁護士や会計士で、会社側が支払う報酬は多くの場合、億円単位になります。平時に監査法人に支払っている年間の監査報酬の数倍から十数倍の金額です。

第三者委員会の課題
■独立性、実行可能性の確保
第三者委員会は必要な調査が行われない可能性があります。調査範囲は、企業から依頼を受けた範囲に依存するためです。この課題点を克服するためには、企業は第三者委員会が企業の信頼回復に役立つということを理解し、必要十分な調査を依頼しなければなりません。

時間と金銭的な制限
第三者委員会は利害関係者に対し、企業の不祥事に向き合う姿勢を示し説明するために活用する機関ですが、調査にかかる時間をすべて捻出できるわけではありません。したがって、第三者委員会による調査や、改善策の提言に必要な時間も限られます。また、第三者委員会の費用はすべて企業の負担になりますので、金銭的な限界が生じるでしょう。特にデジタルフォレンジックなどは、莫大な費用を要するケースがあります。デジタルフォレンジックとは、ノートパソコンやスマートフォンなどの機器を、調査し問題解決に活かす技術のことです。

今後の考察
経営からの不当な介入を防ぐために第三者委員会は独立性を担保する必要があります。他方、独立性の意味自体も考える必要もあります。第三者委員会の場合、調査報告書を作る過程で積み上がった調査資料は会社側に渡さない実務が定着しつつあります。情報提供者の保護などと説明されますが、第三者委員会の調査結果について証拠に基づく外部的な検証がやりにくくなります。実質的な独立性を損なわずに、より効果的な運用を目指すことは可能なのかもしれません。指針に沿わない委員会をなし崩しに広げるのではなく、ヒアリング調査の方法、調査記録の扱いなどについて、どうすれば「実質」を守れるのか、新たな指針で示してほしい。近年はフォレンジックの普及も相まって委員会の調査費用が高額化しているとされていますが、金額を分かりやすく開示する例も必要になってくると思います。
将来的に、いずれは社外取締役が調査を主導するというのが理想かもしれませんが、実際には独立性や専門性の観点から調査を担える人材はまだ企業に行き渡っておらず、当面、第三者委員会の役割は続くものと思われます。だとすると、変化する実情に合わせた規律や開示のあり方を探る時期に来ているのかもしれません。

 
 
 

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