債務確定した部分の金額のみが損金算入の対象
政府が2月4日に通常国会に提出した所得税法等の一部改正法案では、新リース会計基準を踏まえ、リース税制の整備に関する内容が規定されました。
法人税法では、いわゆるオペレーティング・リース取引を「資産の賃貸借でリース取引以外のもの(賃貸借取引)」と定義し、同取引に係る契約に基づく支払金額のうち、「債務の確定した部分の金額」のみが各事業年度における損金算入の対象とされました。
原則全てのリースをオンバランスする新リース会計基準の対応と異なるため、申告調整が必要となります。
オペリース 会計上の費用をそのまま損金算入することは認められず
所得税法等の一部改正法案(改正法案)に係るリース税制の整備のうち、法人税では、次の3点が規定等されました。
●改正法案で規定されたリース税制に係る改正内容(法人税)
[1]〈借手〉オペレーティング・リース取引の定義、損金算入額等
[2]〈貸手〉リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例( 法法63 )の削除
[3]〈貸手〉[2]に伴う経過措置等
[1]では、「資産の賃貸借でリース取引以外のもの(賃貸借取引)」に係る契約に基づく支払金額のうち、「債務の確定した部分の金額」を各事業年度で損金算入すると規定しています(法法(案)53)。
現行、売買があったものとして所得計算をする法人税法上のリース取引( 法法64の2 ③)は、いわゆる“ファイナンス・リース取引”に限定されます。一方で、いわゆる“オペレーティング・リース取引”は、直接的な規定はないものの、賃貸借取引と整理されています。改正法案における「資産の賃貸借でリース取引以外のもの(賃貸借取引)」は、“オペレーティング・リース取引”を意味しているとのことで、結果的に、現行の法人税処理が維持された形となります(【参考1】)。
【参考1】ファイナンス・リース取引(FL)とオペレーティング・リース取引(OL)の定義等

新リース会計基準では、借手の会計処理において、原則全てのリースについて使用権資産に係る減価償却費とリース負債に係る利息相当額を費用計上します。
改正法案では、“オペレーティング・リース取引(賃貸借取引)”に係る各事業年度での損金算入額について、損金経理の有無にかかわらず、あくまで「債務の確定した部分の金額」のみが対象とされました。
法人税法上は、会計上の費用(使用権資産に係る減価償却費とリース負債に係る利息相当額)をそのまま損金算入することは認められないため、申告調整が必要となります。
ここでいう債務の確定の考え方等の詳細は、今後明らかにされる予定だとされています。
旧リース譲渡について利息相当額にのみ延払基準を適用可能
[2]では、新リース会計基準(貸手のファイナンス・リースの会計処理)において、現行のリース会計基準の「第2法(リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法)」が廃止されることに伴い、延払基準による所得計算を認める「リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例( 法法63 )」の規定が削除されます。
[3]では、[2]に伴う一定の経過措置等が規定されました(改正法(案)附則17)。
具体的な内容は、下記【参考2】のとおりです。
旧リース譲渡(令和9年3月31日以前開始事業年度に行われたリース譲渡)について、新リース会計基準が強制適用される令和9年4月1日以後開始事業年度では、「リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例( 法法63 )」に基づく延払基準は適用できませんが、利息相当額にのみ延払基準を適用することは認められます。
令和9年4月1日以後開始事業年度に行われたリース譲渡については、 法人税法22条 と 22条の2 を根拠に、利息相当額にのみ延払基準を適用して益金算入することが認められる予定です。
【参考2】「リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例( 法法63 )」の廃止に伴う経過措
置等
① 令和7年4月1日前にリース譲渡を行ったことがある法人の同日以後開始事業年度(経過措置事業年度)の旧リース譲渡(令和9年3月31日以前開始事業年度に行われたリース譲渡)は、「リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例( 法法63 )」に基づく延払基準を適用できます(改正法(案)附則17②)
② 旧リース譲渡に係る収益及び費用の額について、(1)(2)に該当する場合は、基準事業年度に、残額(未計上収益額及び未計上費用額)を一括で益金の額及び損金の額に算入します(改正法(案)附則17③)
(1) 旧リース譲渡に係る収益の額及び費用の額について、令和9年3月31日以前に開始した経過措置事業年度の確定した決算で「リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例( 法法63 )」に基づく延払基準により経理しなかった場合
⇒「基準事業年度(経理しなかった決算に係る事業年度)」に残額(未計上収益額及び未計上費用額)を一括で益金の額及び損金の額に算入します。
(2) 旧リース譲渡に係る収益の額及び費用の額のうち、令和9年3月31日以前に開始した各事業年度の所得金額の計算上益金の額及び損金の額に算入されなかったものがある場合(「(1)の場合」と「旧リース譲渡に係る収益の額及び費用の額につき令和9年3月31日後最初に開始する経過措置事業年度の確定した決算において延払基準の方法(利息相当金額のみ)により経理した場合」を除く)
⇒「基準事業年度(令和9年3月31日後最初に開始する事業年度)」に残額(未計上収益額及び未計上費用額)を一括で益金の額及び損金の額に算入します。
③ 上記②(1)(2)に該当する場合、未計上収益額が未計上費用額を超えるときは、基準事業年度に一括で益金の額及び損金の額を算入せず、未計上収益額及び未計上費用額を5年均等で益金の額及び損金の額に算入します(改正法(案)附則17④)。
この場合、基準事業年度の確定申告書に5年均等で益金の額と損金の額に算入する金額を記載することが必要とされています(改正法(案)附則17⑤)。
【出典:税務通信3839号】