スタートアップ企業がM&Aを実行する際、のれんの償却費が営業利益を圧迫することが負担となります。
そのため、IFRSと同じく日本基準でも非償却化、あるいは償却と非償却の選択制の導入を望む声があり、近く、日本プライベート・エクイティ協会などがFASFの基準諮問会議にテーマアップ(テーマ提出)すると見込まれています。
ただし、基準改定までの道のりは平坦ではありません。
基準諮問会議にテーマアップしたとしても、それがASBJへのテーマ提言につながるとは限らない。基準諮問会議では、提出されたテーマを「広範な影響があるか」「作成者、利用者、監査人等からのニーズはあるか」といった観点から分析するため、分析の結果、テーマ提言されない可能性もあります。
また、「のれんの会計処理についてはIASBで長年議論しており、日本での議論が短期間で終わるとは思えない」との声も聞かれます。
仮にASBJで改正を検討することとなっても、課題は多いものと考えられます。
例えば、IASBでは「一部の企業にとっては、毎期の減損テストが負担だ」との声を受け、減損テストの改善の是非を議論しました。この点、日本でも同様の議論が必要になるものと思われます。
「償却と非償却の選択制を導入すると、財務諸表の比較可能性が損なわれる」との意見もあり、選択制とすることも容易ではありません。自民党での議論も見込まれるが、いずれにせよ時間がかかるものと思われます。
【出典:経営財務3700号】