(質問)3月決算会社です。
翌年4月1日から役員の職制変更し、その4月から役員給与を増額する予定です。
なお、役員人事は当年11月の取締役会にて決議する予定です。
人事変更の内容は、取締役社長→取締役会長、平取締役→取締役社長です。
翌年4月1日からの職制変更による報酬額の変更(増額)は「定期同額給与」の臨時改定事由
による改定に該当し、損金算入可能でしょうか?
(回答)
■臨時改定事由にあたるかどうか
役員の定期同額給与において、臨時改定事由に該当する場合は、その定期同額給与の改定(増額及び減額)は税務上是認されます。
臨時改定事由とは、当該事業年度において当該法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむをえない事情によりされたこれらの役員に係る定期同額給与の額の改定をいいます(法人税法施行令69条1項一ロ)。
ここで、「役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむをえない事情」の例示として、役員の分掌変更の場合が挙げられています(法人税法基本通達9-2-12の3)。
具体的な例として、社長が任期途中で退任したことに伴い副社長が社長に就任する場合が挙げられています。
何らかの事情により、社長が会長へ就任した場合の減額についても、分掌変更による定期同額給与の改定になりますので、当該改定は税務上是認されるものと考えます。
従って、今回、御社で行われた役員人事での定期同額給与の改定は、役員の分掌変更によるものとして、税務上是認されると考えます。
なお、この場合も役員報酬の変更決議はとっておいてください。
■臨時改定と翌期の通常改定との関係について
定期同額給与の通常改定は原則として、期首日より3か月以内に実施するものです。
今回の役員人事での臨時改定は期首(翌年4月)に実施される予定とのことですが、この場合も、翌年6月の通常改定は例年通り、問題なく実施できるものと判断いたします。