(質問)3月決算の会社ですが、この度、自社ビルの建て替えを行うに当たり、賃貸している1階のテナントに立退料を支払うこととなりました。この支払う立退料の税務処理、会計処理についてご教示ください。
(回答)
(1)立退料の税務処理(資産計上か損金計上か?)について
支払った立退料について国税庁のタックスアンサーにおいて、下記の通り、記載されています。
建物を賃貸している場合に、借家人に立ち退いてもらうため、立退料を支払うことがあります。このような立退料の取扱いは次のようになります。
1 賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料は、譲渡に要した費用として譲渡所得の金額の計算上控除されます。
2 上記1に該当しない立退料で、不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料は、不動産所得の金額の計算上必要経費になります。
3 土地、建物等を取得する際に、その土地、建物等を使用していた者に支払う立退料は、土地、建物等の取得費または取得価額になります。
4 敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料は、通常、借地権の買い戻しの対価となりますので土地の取得費になります。
この規定は、法人においても同様の取り扱いがなされます。
今回の当社においては、上記の「2」の不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料ですので損金経理となり、資産計上の必要はありません。
(2)会計処理(使用する勘定科目)について
立退料の会計処理については、営業外費用もしくは特別損失の項目で「立退料」の科目にて処理するか、営業外費用の「雑損失」等の科目に含めて処理するものと考えます。
(3)消費税について
支払った立退料については、一種の損害賠償的な性格を有するため、消費税に認識せず、課税対象外(不課税)処理すべきです。