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2024年度(令和6年度)の税制改正で、企業の接待経費に関わる大きな見直しが行われました。長らく据え置かれてきた「1人5,000円基準」が、ついに10,000円へと引き上げられたのです。実に2倍という大幅な改正で、ビジネス現場では歓迎の声も多く聞かれます。

物価上昇や食材費、人件費の上昇により、従来の5,000円では「軽い食事」でさえ収まりにくくなっていました。コロナ禍で打撃を受けた飲食業界の支援という政策的な背景もあり、今回の基準引き上げは、企業側・飲食業側の双方にプラスの効果が期待できます。

■10,000円までなら「交際費にならない」
今回の改正で重要なのは、接待にかかる飲食費が1人当たり10,000円以下であれば、交際費として扱われない点です。つまり、税務上の負担が軽くなり、接待の自由度が大幅に広がることになります。
ただし、この制度が適用されるのは「外部の関係者との飲食」に限られます。
社内での懇親会、慰労会などは対象外なので注意が必要です。
一方で、行事の差し入れの弁当代や、飲食店での接待後に渡すおみやげなど、実態として「飲食の一部」といえるものは基準の対象に含まれます。

■判定は「総額÷人数」—税込か税抜かも要チェック
1人当たり10,000円以下かどうかの判定は、総額を人数で割るシンプルな方法で行います。
しかし落とし穴になるのが「税込経理か税抜経理か」。
税込経理:税込11,000円 → 10,000円超で交際費
税抜経理:税抜10,000円とみなす → 交際費に該当しない

同じ会食でも、経理方式により取扱いが変わる点は実務上非常に重要です。

■10,000円を1円でも超えると「全額アウト」
誤解しやすいポイントとして、「上限を超えた場合は超過部分だけが交際費になるのでは?」というものがあります。
しかし実際には、1人当たり10,000円を超えると全額が交際費となります。
たとえば、
1人12,000円の接待→ 12,000円すべてが交際費扱いとなります。

境界線ギリギリの接待では、金額管理がこれまで以上に重要になります。

■まとめ
今回の税制改正により、接待関連の飲食費の実務は使いやすい方向に改善されました。
物価上昇が続く中で、10,000円まで非交際費として認められるようになったことは、企業活動において大きなメリットです。
ただし、適用には
対象となる飲食費かどうか
経理方式
必要書類の保存
など、押さえるべきポイントが多数あります。

改正内容を正しく理解し、実務にスムーズに取り入れていくことが求められます。

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