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【ポイント】
・会社が自己株式を株主から取得する場合、その対価のすべてが「株式の譲渡所得」になるわけではない。
取得対価のうち、会社の「資本金等の額」に対応する部分を超える金額は、
 
→ 利益の配当を受けたものとみなされ「みなし配当課税」の対象となる(所得税法25条)
みなし配当は、合併・会社分割・株式分配・資本の払戻し・自己株式取得など、一定の法人行為で発生する。
自己株式取得の場合
 ・
「資本金等相当部分」=元本
 ・
それを超える部分=利益積立金からの払戻しと評価され、配当所得課税
例外として、相続により取得した非上場株式を一定期間内に会社へ譲渡する場合などは、みなし配当課税が排除される特例がある。
・閉鎖会社が株主から相対取引で自己株式を取得においては、対価のうち資本金等超過部分がみなし配当、それ以外が譲渡所得となる。

非上場のオーナー会社では、「会社が株主から自社株を買い取る」という取引は珍しくありません。事業承継、従業員持株会への株式移転、株主整理など、実務上よく使われる手法です。
しかし、この自己株式取得には、意外と見落とされがちな税務上の論点があります。
それが 「みなし配当課税」 です。

■なぜ「配当」とみなされるのか
形式的には「株式の売却」であっても、実質的には、会社が内部留保(利益積立金)を使って株主にお金を返している場合があります。
そこで税法は、
会社の資本金等を超えて払い戻される部分を 「利益の配当を受けたのと同じ」 と評価します。

つまり、
資本金等に対応する部分 → 元本の返還(譲渡所得)
それを超える部分 → 利益の分配(配当所得)

という二重構造で課税関係を整理するのです。

■ 閉鎖会社ほど注意が必要
上場株式の市場取引では問題になりにくい一方、閉鎖会社の相対取引による自己株式取得は、みなし配当課税の典型例です。
特に、
株価が高い
・利益剰余金が多い
・長年オーナーが株式を保有している

といった会社ほど、売却代金の多くが「配当扱い」になる可能性があります。

■ 税率が変わる点にも注意
譲渡所得 → 分離課税(通常20.315%)
配当所得 → 総合課税または申告分離(ケースによる)

結果として、想定より税負担が重くなることも珍しくありません。

■ まとめ
自己株式の取得は、「会社と株主の内部取引だからシンプル」と考えがちですが、

税務上は 資本金等・利益積立金・取得価額の分析が不可欠です。

とくに非上場会社では、
「譲渡=全部キャピタルゲイン」と思い込まないこと
事前にみなし配当の有無を検証すること
が、トラブル防止の鍵となります。

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